近藤誠氏の「ワクチン副作用の恐怖」信者が来たらどうする?


みなさん、こんにちは。Castella (カステラ女王様 @Rainha_Castella )です。普段は医師免許持ってることも忘れて、優雅で怠惰な隠居生活しています。

持っているスキル(あんまりない)と知性(殆どない)の全てを、自分と自分の家族の為だけに投入しております。

ワクチン? 受けるし、受けさせますよ。全力で。だって、私にとって、ワクチンは正義。私は持病持ちwなので、無駄に感染症に罹患したくないのです。ワクチンの副作用より、感染症の方が嫌だし、細菌による感染症には抗菌剤があるとは言っても、ワクチンの副作用より抗菌剤の副作用の方が嫌だし、耐性菌の問題もあるし。

持ってる医学知識(大してない)は、もはや、自分と家族のためにしか役立ててないw

最近ハマっているのは、このダンスの練習。
カナダのこの冬も元気に乗り切り、リアル友人(超少ない)と一緒に、新年会の隠し芸でやるんだ〜♪
これで、みんな(って誰?)、ワタクシ達のトリコね。

Youtube 【TDC】バブリーダンスPV 登美丘高校ダンス部 Tomioka Dance Club より転載

近藤誠さんの新著書「ワクチン副作用の恐怖」

2017年11月6日、元慶應大学放射線科講師の近藤誠さんが、「ワクチン副作用の恐怖」という新著書を出版しました。

私は、「ワクチンは正義」派なので、タイトル見た瞬間「トンデモだね。」と、反射的に思ったけど、読まずに決めつけるのはダサいと思い直し、Kindle で購入。Kindle版なら1,000円でちょっとお得。カナダに住んでても秒速で購入できます。いい時代に生まれました。お手持ちのパソコンでも読めますよ。

さて、どんなトンデモ理論が書いてあるんだろうと、ワクワクてかてかしながら読んだのですが。。。
残念! なんということでしょう! 想像に反して、意外にきちんとした内容でした。個人的には、賛成できる箇所は1箇所もないけど、トンデモって訳ではない。

私がワクチンは正義と思っているのと同じくらい、近藤誠さんは「ワクチンを必要最小限にするのが正義」と思っている。

この本ね。

それから、彼と同じ熱量&資料の量で、ワクチン接種を推奨している本は、私が知る限り、岩田健太郎さんのこの本だけ(異論は認めます)。

いきなりまとめ

色々書いてたら、無駄に長くなったので、先にまとめます。
もし、ワクチン拒否する人に、医者という立場で会ったら。以下のようにする、かな、私なら。

  • 話は全力で聞く(聞くだけ)
  • 自分の意見(ワクチンは正義、自分の子供には接種する/した)は「伝える」
  • 「説得」はしない
  • 資料はワクチン推奨&反対、同程度に用意しておく
  • 「気が変わったら声かけてね」くらいは言っとく

ちなみに、医師が対話して、ワクチン拒否の親の気が変わるのは、30〜47%程度1)だそうです。

これは、カナダの医師国家試験で、「ワクチン拒否する親にあったらどうする」という設問に、今の私ならどう答えるかってことなの。
もし興味があったら、こちらもどうぞ。

カナダの医師国家試験問題:我が子へのワクチン接種を拒否する母親と語れ

2017.11.09
注意
ここから先は無駄に長いです。

近藤誠さんに反論するのなら、彼と同程度には根拠を用意する必要がある

彼の本を読む前には、「そうだ! そうだ!」って思いながら読んでたネット上の反対意見ですが、近藤さんの本読んだら、彼の本読まずに批判している人達(私含む)が、同じくらい変に見えてしまいまして。。。

ちなみに、彼がここまで批判されているのは、「彼の主張が科学のフリをした疑似科学だから」という理由。

でもね、今回は、「感染症が収束しつつある今、ワクチンはその役割は果たし終えており、副作用のことを考えれば、必要最低限に利用するべき」という彼の主張は、私が信じている方向とは、逆方向に振り切れてはいても、トンデモとは思えない、似非科学ってほど酷くもない。むしろ、私のこの記事の方が胡散臭い。

彼の主張を批判したいのなら、彼が参考文献として挙げた文献を、自分の目で吟味し、彼が「作為的に誤用して引用」と考えられる箇所とか、「統計で嘘を付いている」と考えられる箇所とか、執拗に、執念深く、粘着な態度で、1つ1つ挙げて、切り崩して行かなくてはならないんじゃないの? 私はやってないけど(その力量も熱量もない)。

少なくとも、現段階で、近藤誠さんと同じレベルの根拠をもって反論を書いているのは、医師の岩田健太郎 さんだけに見えます(異論は認める)。このページ:2017年11月09日 近藤誠さんとの対峙の仕方ね。

岩田健太郎さんは、たくさん本も書いていて、彼が10か月前に書いた「ワクチンは怖くない」は、期せずして近藤誠さんの新著書に対する反論にもなっています。こっちの本も買って読んじゃった。すごく面白かったし、近藤さんの熱量と同じくらいの熱量で、ワクチンについて分かりやすく書いてあるので、おすすめです。

思い出した2つのこと

荻野目洋子がダンシングヒーローを踊り(1985年)、時任三郎が24時間戦えますかと歌った(1988年)時代に、当時、「①なんでもかんでも切り取る+②なんでもかんでも抗がん剤+③それなのに告知はしない」のガン治療に一石を投じたのが、今回、「ワクチン副作用の恐怖」を出版した近藤誠さんです。

当時から24時間戦うのイヤすぎるって思ってたけど(バブル脳なのに)、時任三郎はかなり好き。

Youtube 【CM 1989-91】三共 Regain 30秒×7 by nv850hd3

思い出したこと1:1990年代のがん治療の専門家(?)達は、なかなか残念だった

1992年頃には既に、1996年に出版された近藤誠さんの著書「患者よ、がんと戦うな」の骨子はできていて、彼の雑誌連載記事を、ぴっちぴちの若き医師だった私は夢中になって読みました。

当時、近藤誠さんは一見ガンに見えるけど、自然に消えちゃうガンを「がんもどき」とわかりやすく表現し、ガンに見えるものを、なんでもかんでも切ったり抗がん剤治療をするのは間違っていると主張(実際、いつの間にか自然消退する「ガンに見えるもの」は、存在します)。今は、近藤さん自体が唱えてる「がんもどき」自体の定義が、彼の中で変わっちゃったけどね。

その頃、私は臨床研修をしていて、私が今も尊敬している当時の上司(病院長)も、「ボク、近藤誠さんの意見には全部賛成ってわけじゃないけど、彼の意見には納得できる部分も多い」とおっしゃっていたのも付け加えておきます。

一方、当時、がん治療の中心的役割を果たしていた医師の多くは、「がんもどきは、おでんだけにしとけ」と、それこそ脳みその中におでん詰まってるんじゃないの? って感じの理屈もクソもないアホみたいな反論をしていたし、二重盲検試験? エビデンス? 患者さんを実験台にするの? みたいなことを言ってたわけです。理屈におでん投げて返すような残念医師は、当時ホントに多かった。(一部私の妄想を含みます。が、これでもだいぶ遠慮した表現です、あと、おでんにはなんの恨みもありません)。

ちなみに、今振り返ってみると、どちらも、ちょっとずつ、今、「正解」とされていることとは、違ってたわけですが、近藤誠さんが当時から主張していた「正しかったこと」は、なかったことにされている(今、正解とされていることだって、良くて80%正解程度だと思うよ)。

その頃、岩田健太郎さんのような、理屈に理屈で反論する医師がいれば、近藤誠さんの正しかった部分はきちんと評価され、よりよい正解(?)が得られたのではないかと思うのです。

近藤さんも岩田さんクラス相手なら、もっと伸び伸びとパワー全開で、議論できるんじゃないか。。。と書いてみるテスト。お二人の議論は、きっと、たくさんの気づきと学びに溢れたエンターテイメント。ただ、ステージショーだと、見に行けないし、口下手な方が損するので、「書いて」やってほしいな。

思い出したこと2:カナダの医師国家試験では、「説得」ではなく「対話」が求められた

医師であるAndrew Wakefield が、「MMR(麻疹、おたふく風邪、風疹)ワクチンは自閉症の原因である」という論文(1998年)を出して数年後の200X年、私は、カナダの医師国家試験であるMCCQE part 2を受験しました。

そして、そこで出題されたのが、「我が子へのワクチン接種を拒否する母親と語れ」。
興味のある方は以下をご覧ください。

カナダの医師国家試験問題:我が子へのワクチン接種を拒否する母親と語れ

2017.11.09

当時、まだ、Andrew Wakefield の論文(MMRが自閉症の原因説)は取り消しになっていなかったし、彼の主張を信じる人は、一般の人に限らず、医師にも多かったんです。

それはともかく、Andrew Wakefield の意見は、今の近藤誠さんの主張よりは、世の中に受け入れられてはいたけど、カナダの公衆衛生行政としては、「ワクチンは正義」だったわけです。当時でも。

でも、カナダの医師国家試験で求められたのは「説得」ではなく「対話」でした。

ワクチンは誰のために?

ワクチンは集団の感染症予防に役に立つのは確か

カナダのワクチン行政はけっこう厳しく、ワクチン証明がなければ幼稚園も小学校も入学が許されません。当然ですが、大学も。

うちの子も、入学前には、こちらのコピーを提出しました。

でもね、ワクチンを強制することは、実は、ありません。小学校に入れないのは困るので、強制しているのと同じようなものかもしれないけれど、義務教育の間(カナダは高校まで)は Home Schooling 制度は機能しているし、大学に入りたければ、親元を離れてから、自分の意志でワクチンのキャッチアップを行えば済むこと(簡単じゃないけど)。

ワクチン証明がなければ、学校に行くのにかなり不自由なことは確かですが、ワクチン受けない選択肢はちゃんと残されてはいます。

ワクチンは、個人のために

何が言いたいかというと、ワクチン接種を語る時に、公衆衛生学的なメリット(集団が得られる健康上のメリット)をどうしても語りたくなってしまうものだけれども、ワクチン接種するか否かは、適切な情報提供をうけた上で、個人が自分の事情に合わせて選択するべきと、私は考えています。

そりゃー、私は、「ワクチンは正義派」だし、自分や自分の子供にはワクチン接種する/させるし、できれば周りの人もワクチン接種してくれた方が、私にとっては都合が良いけど。

でも、公衆衛生の向上のために、誰かにワクチンを強制するのは違う。ましてや、「アナタがワクチン受けないと、みんながインフルエンザに罹る可能性が上がるのよ!」なんて、魔女狩りみたいなことをする社会には住みたくありません。

近藤誠氏の「ワクチン副作用の恐怖」読者である親の不安にどう対応する?

やっと本題です。

ってことで、私なら、

  • 話は全力で聞く
  • 自分の意見(ワクチンは正義、自分の子供には接種する/した)は「伝える」
  • 「説得」はしない
  • 資料はワクチン推奨&反対、同程度に用意しておく
  • 「気が変わったら声かけてね」くらいは言っとく

「いきなりまとめ」で書いたように、私なら上述のことを行います。ま、今後、私が臨床医をすることがあるとは思えないけど。

話は全力で聞く&自分の意見(ワクチンは正義、自分の子供には接種する/した)は「伝える」

私は、もう、あまり医者じゃないけど、末端の医者として何かするときには、その時に最良と信じることを行うしかないかなーと。

つまり、私にとって「ワクチンは正義」なのだから、どの親にも、一度くらいは、「私は、自分の子供には接種したし、ワクチン接種は理にかなってると、思う」と伝えるくらいはするでしょう。

その前に話を全力で聞くけど。なんかさ、聞いてもらえたって思わないと、患者さんって話長くなるじゃん?

「説得」はしないが、資料は用意する

そして、説得はしないけど、資料は用意すると思います、両方。

カナダの医師国家試験で、私は「説得」という愚行を行ってしまい、(他の部分の出来の悪さもあって)試験には落ちてしまったわけですが。

例えば、麻疹なら、以下の3つ(1)近藤さんの資料、2)厚労省の資料、3)CDCの副作用報告)くらいは用意するかなぁ。

それでもって、「近藤さんが麻疹で死亡する可能性がほとんどないって言ってるのは嘘じゃないけど、2005年でも3人亡くなってる。副作用のない予防接種はない、わかってる範囲でこの程度」くらいは簡単に説明するかな。親御さんの態度によっては、見せるだけにするかも。

1)近藤誠さんの資料2)(麻疹の例)

このように先進国では、麻しんで死亡する可能性がほぼないため、ワクチンの必要があるかは疑問です。 したがって 前述 の よう に WHO が、 過去 の 麻しん 死亡率 の 高 さを 強調 し た のは、 ウイルス 排除 国 にとっては言い過ぎです。むしろ排除国のために WHOが問題にすべき は、ワクチンの副作用でしょう。まれではあっても、脳障害のような重大な副作用が生じる からです。

近藤 誠. ワクチン副作用の恐怖 (文春e-book) (Kindle の位置No.409-413). 文藝春秋. Kindle 版. より転載

2)厚生労働省の資料3)(麻疹の例)

厚生労働省 学校における 麻しん対策ガイドライン. 2006 P20 より転載

3)CDC の ワクチン情報4)の日本語訳(MMRの例:()内は私によるテキトーな訳)

Most people who get MMR vaccine do not have any serious problems with it.;MMRワクチン摂取をうけても、ほとんどの人には深刻な副反応はみられない

Mild problems;軽度

  • Fever (up to 1 person out of 6):発熱(6人に1人)
  • Mild rash (about 1 person out of 20):軽度の発赤(20人に1人)
  • Swelling of glands in the cheeks or neck (about 1 person out of 75):頰腺や頸部の腫脹(75人に1人)

If these problems occur, it is usually within 6-14 days after the shot. They occur less often after the second dose.:これらは、接種後、6−14日内に発症し、2回目では頻度が減る

Moderate problems:中等度

  • Seizure (jerking or staring) caused by fever (about 1 out of 3,000 doses):熱性痙攣(攣縮、凝視)(3,000回に1回)
  • Temporary pain and stiffness in the joints, mostly in teenage or adult women (up to 1 out of 4);関節痛や関節のこわばり、多くはティーンエイジャーや成人女性にみられる(4人に1人)
  • Temporary low platelet count, which can cause a bleeding disorder (about 1 out of 30,000 doses);一過性血小板減少による出血等(30,000回に1回)

Severe problems (very rare):重度(稀)

  • Serious allergic reaction (less than 1 out of a million doses);重篤なアレルギー反応100万回に1回)
  • Several other severe problems have been reported after a child gets MMR vaccine, including;他にもいくつかの障害が、小児へのMMR後に報告さている
    • Deafness:難聴
    • Long-term seizures, coma, or lowered consciousness:長期にわたる痙攣、昏睡、意識低下
    • Permanent brain damage:恒久的脳障害

These are so rare that it is hard to tell whether they are caused by the vaccine.:これらの障害は稀であり、MMRワクチンによるものかどうかは不明

MMR,Vaccine Information Statements (VISs). CDC より転載

「気が変わったら声かけてね」くらいは言っとく

小児科に来たってことは、子供のことは気にかけてはいるってことだとは思うので、「気が変わったら声かけてね」って伝えて、終わり。

先方がもっと話したいことがあれば、(時間内なら)全力で聞きますが、説得はしないよ。お互い不幸になるだけと思うので。

もし、能力高めの医師なら

私は底辺ドロッポ医で、その能力がないのだけど、もし、私が能力高めの医師なら、上述の対応をしつつ、本でもブログでも、一般の人に対して、ワクチンについて「わかりやすい言葉で」伝えられたらいいなと思います。

岩田健太郎さんの本は、格調高めだし、近藤誠先生の新著書の前に書かれたものだから、そっくりそのまま反論には使えないし、一般の人にはちょっと難しいかも知れないとも思う(正直に言うと、私にもちょい難しかった。賢めの一般人なら、余裕で理解できるくらいには分かりやすいとは思うけど)。

TwitterやAmazonの書評で近藤誠さんの新著書について、「専門家なら簡単に反論できる内容ばかり」とか、「医学的な根拠が弱い」とか、抽象的で総論的なことを書いても、今現在、不安になっている親には届かないと思んですが、どーでしょうか?

そもそも、ワクチンなんてたくさんあるんだから、反ワクチンvsワクチンは正義 の構造もホントはおかしい。私はワクチンは正義と思ってるけど、例えば、ワクチン個別で言うと、「BCGはいらなくね?」と、こっそりひっそり思ってる。そこまでの自信がないし、いちいち文献紹介するのもめんどいから、おおっぴらには言わないだけで。

言い換えれば、ワクチン一つ一つについて、「これは、近藤さんはこう書いてるけど、自分が信頼してる専門家はこう言ってる、資料はコレだ! そして自分はこう思う」ってことを、ブログや本に書いてくれるステキ医師が増えてくれたらなぁと思ってます。そこをやらないのが隠居系なので、私はやらないけど。

ちなみに、岩田健太郎さんだって全部のワクチンに大賛成ってわけじゃないし、近藤誠さんだって全部のワクチンに大反対ってわけじゃないのよ。

まとめ

医師と会話することで、30〜47%の確率で親の気が変わればそれでいいし、53〜70%の確率で親の気が変わらなくても、それもまた良し。

全ての親を説得するのは不可能だし、説得しようとすればするほど、親は医療不信に陥ることでしょう。お互いの不幸になることは避けたいよね。

なお、「時間外にワクチン拒否な親の説得することまでお仕事」な職場で働いてる先生方におかれましては、転職などを視野に入れることをオススメしております。(キリッ

【参考文献】
1)Mary C. Politi, Katherine M. Jones,Sydney E. Philpott. The Role of Patient Engagement in Addressing Parents’ Perceptions About Immunizations. JAMA. 2017;318(3):237-238.
2)近藤誠. ワクチン副作用の恐怖. 文藝春秋. 2017
3)厚生労働省. 学校における 麻しん対策ガイドライン:p20  2006


 

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