東京医大と昭和大医学部の件について、質問に答えてみたよ

東京医大のニュースからこっち、ブログ経由のEメールでの質問が大変なことに…。
「ほとぼりが冷めたら返事を記事にして載せますから」…と放置すること2ヶ月。

今度は昭和大医学部…、そしてまた質問が大変なことに。

女王様
この2ヶ月間、お返事代わりの記事書こうと何回も何回もしたんだけど、私立医学部が志望校になる人の話ってビンボーだった者にとって別世界すぎて辛いっす。

正直、荷が重い。

自力ではまとめきれないなあと思っていたら、さんだ さんの考えと非常に近いので、コレを元に記事書くことにしました。一般的にパクリとも言います(パクリに関しましては、さんださんにご許可頂いてます)。

また、これを持ちまして、東京医科大学&昭和大学医学部についてのご質問への回答に代えさせてください。ほんと、ごめんなさい。私、もともと、ゆるい人を読者として想定してたのに、なぜかガチで優秀な方が読者になってくださってて…(泣

女王様
これ以上書くと、バカがバレる。

目次でサクッと把握

はじめに:東京医大と昭和大医について長文書いたけど内容薄くてしょぼいです

もうね、長いだけで内容薄いです。しょぼいです。忙しい人and/or優秀な人は早く画面閉じて早く!

なんせ、やる気ないからこそのドロッポ。現役でバリバリ医師として働いてたら、感想もちょっと違ったものになるかもしれないけれど、「あらら、誰も幸せにならない案件」「今後に期待」系の感想しか持てないし、それの感想すらも、その日の気分でちょっとずつ変わってしまいます。

リアルビンボー人にとって、合格しても授業料払えなくて行けない大学を受験するのは、受験費用と交通費と時間の無駄。だから、受験するときに学校情報を集めることもない、ビンボーだった私は今後も多分興味持たない/持てない=私の時間使いたくない。

願わくば、お金のある人(特に優秀な人)は国立合格しても蹴って名門私立にビシィっと入学キメて、お金持ち同士で椅子取りゲームしてくれたらいいのに、というセコイ考えくらいはあるし、

不正、特に「世の中に貢献する人材」を集める大義名分がある入学試験での不正は、ひたすら、ダサい。自分(大学)の評価を落とすからヤメなよ and/or 現在の卒業生や学生さんは不正で入ってても入ってなくてもとんだトバッチリだねとは思うけど、その程度。

このブログで、今後この件について書くこともないと思います(加筆修正くらいはする)。

東京医大と昭和大医学部のニュース:おさらいと感想のまとめ

ざっくり、今回の問題を私的におさらいすると以下の直接3点+派生2点に集約されます。

問題のおさらい

  1. 文科省からの補助金を得る見返りに、文科省局長の子供に下駄を履かせて入学させた問題
  2. 女子受験生と一部の男子受験生の点数を不正に操作していた問題
  3. 卒業生の子弟を優先的に合格させていた問題
  4. そこから派生して、医療崩壊しそうな現状の医療現場のあり方問題(アクセス制限する? 医療の質を下げる? 医療費上げる? または医療の質そのままにして医者の給料減らして数増やす? こんな状況だから女医の数抑制は仕方ない? など)
  5. 女性医師や年齢の高い医師が増えると脳外科や心臓外科などハード(?)な科に行く人がいなくなってしまう問題(これについては【検証】女性医師が増えると、脳外や心外の医者が足りなくなるのか?【日加比較】で書いています)

感想のまとめ

立派なお医者さんを養成するために、それに相応しい若い人集めてるはずの大学が、集める段階で不正www 「うわっ、それ、誰も幸せにならんやつや!」が、初見での感想です。今も大差ない。日によって濃さが変わるけど。

1. の感想

文科省局長&東京医大の理事長による不正が発端だったんですよね。みんな忘れてると思うけど。

これが、一般的な裏口入学(?)より、更にトホホ感あふれる理由は、「自分の稼いだお金」で子供の入学を購入するんじゃなくて、「補助金=国のお金」で子供の入学を購入している点。

ダメじゃん。あと、子供が気の毒。

それに加え、今更、医学部、そんなに行きたい/行かせたいものかしら…的な残念感。医師って、客観的に悪くない職業とは思うけども。そこまで???

女王様

甲斐性や権力を自分の子供の医学部の裏口入学に使ってしまう親心が切ないし、親の希望で医学部行かなくちゃいけない人生はしんどいだろうとも思う。

自分、子供用の学費3000万円あったら、全部ハウステンボスにつぎ込んでしまいそうだ…。

にゃんこ
ハウステンボス…それはそれで、どうよ?

2. 3. の感想

先に書いたように、私的には、2. 3. とも、「誰も幸せにしない案件」だな、で終わり。もう少し複雑なことも考える日はあるけど、基本、そこ。

でも、東京医大のその後の対応は悪くない(若干頑張りすぎ)、とも思ってます。
例えば、8月6日には、もう、東京医科大学の公式ウェブサイト上で「文部科学省大学支援事業と入学試験における不正問題に関する内部調査報告書の受領について」を公開しています。私が知る限り、どこの報道よりも詳しいです。

きっと、昭和大学も頑張ってくれるでしょう。今後に期待です。

どの大学にも真剣に医療に向き合ってる人たちはいるし、真摯に医学教育しようとしてる人たちは絶対にいます。「絶対に」です。今まで、こんなのおかしいと思いながら、大学の方針に従わざるを得なかった人たちが、今回のことをきっかけに、表に出て息を吹き返すことを希望します。

4. の感想

きっと、医療を受ける側からすれば、「医療費自己負担が上がらず、今後も今まで通りの医療が受けられるのがいい」のが正直なところなんでしょう。

けど、それでも、コンビニ受診を控えようとしてくださったり、救急車をタクシーがわりに使わないようにしてくださったりする方が少なからずいるのは、とてもありがたいです。

でもね、これ、医師自身(特に偉い人たち)がなんとかしないと、どうにもならんだろうとも思います。

この先何人の若い医師が過労死しようが、女性や多浪男性受験生が「医師になっても365日24時間働けないから」という理由で不利に扱われようが、

真面目で熱心な勤務医が目の前にいる患者さんの為に、生理的に無理な睡眠時間で、家族や大切な人をないがしろにしながら歯を食いしばって診療を続ける限り、偉い人から見れば「ほら、頑張ればできるじゃん」を実現し続けてしまうよ? 

偉い人たちは、すでにagari。逃げ切ってるし、生存者バイアスの奴隷なので、自分が受けてきた教育も扱いも妥当だと思ってる。なんなら、それが現在の偉い自分の成功の秘訣くらいに思ってます。

本当は偉い人が動いてくれないとどうしようもないけど、今現在、過労死しそうな先生方におかれましては、せめて人生が強制終了になる前に、命削らなくても仕事できる場所を選んでほしいと願っています。

カナダに来てますます感じるんだけど、日本人の働き方の一番の問題点は、どんなに労働条件が酷くても仕事を辞めないこと日本にもちゃんと睡眠時間が取れる病院は存在します。都市伝説でなくて。

そういうわけで、恒例の広告貼らせていただきます。

5. の感想

これについては【検証】女性医師が増えると、脳外や心外の医者が足りなくなるのか?【日加比較】で書いているように、他にすることあるんじゃないの? って思います。

手術を年に数度しかしない脳外や心外専門医をコストかけて養成して、その医師に、書類書かせたり、伝票持って行かせたりしてどーすんだろう。それに、術前術後管理は非常に大事だし、それ単体で専門性の高い分野だから絶対面白いけど、「外科の」仕事とは違うよねって思ってしまう。

正直、自分が患者だと仮定して、当直でヘロヘロの医師に、手術してほしくないし、手術した流れで休憩も取らずに術前術後管理してもらいたくない…。

ーーーーーーーーーー

では、以下、頂いた質問に直接答える形で。

Q1:あれだけ毎日Twitterしてるのに、今回の東京医大の裏口入学や女性の入学制限や、昭和大学医学部のOB優先についてはtweetしなかったのはなぜですか?

私の中では、「誰も幸せにならないね」で強制終了させてるから、かな。

でも、一番の問題は、うっかりTweetすると、自分の中に抱えた矛盾が出てきそうだと思っている点かもしれません。知らんけど。

例えて言うなら、

マッチョ吸血鬼vs人間の差別ある世界で、マッチョ吸血鬼に血を吸われつつ死ぬまいと努力した結果、へなちょこ吸血鬼になってしまった自分自身に、泣きながら十字架でトドメをさそうとしてるけど、やっぱり自分は死にたくないので、華麗にドロッポ。

けれども、吸血鬼はたくさんいて、人類を脅かそうとしている(ように見える)。いやでも、吸血鬼って元は人間だし。

なんと! ゾンビまでいる。人間とゾンビもお互いを滅ぼそうとしている!?

もはやどれが吸血鬼でゾンビで人間なのかわからない。人間も吸血鬼もゾンビも、誰も幸せではない。これ、アカンやつや…。

って感じ?

ますます意味不明ですね。
自分でも意味がわかりません、ので、この件に関してはTweetできませんw

Q2:東京医大が女子と多浪生の受験生の点数操作したり、昭和大医がOB優先したりなどの不正についてどう思いますか?

控え目に言って、とてもダサいので、1mmも支持できない

女子と多浪生排除「だけ」なら、まだ理解できる部分がなくもない(無理矢理感)。防衛医科大学校は私が受験生だった頃は「21歳未満の男子しか取らない」と募集要項に明記してありました。

東京女子医大も、当然きっちり「女子に限る」と明記してある。

大学側が本気で、女子と多浪生は要らないと考えているのなら、
OBの子供なら親の背中見て育ってるからスバラスィ医師になると確信しているのなら、

世間からどんなに叩かれても、公表しとけってことです

スバラスィ医師を養成したい大学が、未来の医師となる受験生を確保する一番最初の入学試験で不正www。ダサい、ダサすぎる。どの口で医学生に世の中に貢献とか言って教育するんだろ。

でも、今後に期待

「健康で体力があり、24時間365日の勤務が可能で、結婚したり子を持っても辞めたり、休職したり、ましてや時短などで業務に穴を開けない従順で都合のいい兵隊が切実に欲しかった」って事情はわからなくはないし、それは、大学のためというよりは、患者さんのため、ではある(たぶん)。

でも、こういう入学試験での操作って、不当に不合格になった受験生だけでなくて、順当に合格した学生や卒業生まで裏切るよね。どんなに名門でも、それだけで「無理」と思うほどのダサさ。

起こってしまったことは仕方ないので、今後に期待(上から目線)。

Q3:女性医師を普通に合格させると眼科医や皮膚科医ばかりが増え、脳外科や心臓外科が減ると思いますか?

これについては【検証】女性医師が増えると、脳外や心外の医者が足りなくなるのか?【日加比較】で書いていますのでヨロシク。

Q4:医学部のこうした差別を乗り越えて医師になった女性は、カステラさん含め、有能だと思いますか?

うひー。

正直に言います。

私含め、現在女性医師やってる人は、きっと人生で10秒くらいは、(たぶん)「私ってめっちゃ有能♪」って思ったことがあるはず…と思います。

だって、そういう厳しい環境下で上手くやれた(本当は上手くやれてれば環境改善できてたはずだけど、上手くやれたと思いたい)若い日の自分や苦労みたいなものを超肯定できる上に、さりげなく若い人にマウントとれて気分いいじゃないっすか。

あ”、自分、今、医者じゃなかったwwwww

ま、でも、つまり、そういうことです。

臨床は研修期間の2年ぽっちしかやってなく、比較的ホワイトな産業医すらドロッポした私でも、(みっともないから口には出さないけど)お手軽に自分を肯定し、若くて優秀な人に対して(心の中で)優位性を保つために、「アレを乗り切った私テラ有能!」と自己満足しないとやってられない部分は、確かに「あった」。

でも、苦労自慢&有能マウンティングが延々と続く限り、次の世代に同じ根性や犠牲を求め続けていくことになって、誰も幸せにならないループだということに、私たちはもうちょっと敏感であった方がいいかも知れません。

Q5 : 医学部の不正入学なんて昔からあったのに、今更、騒ぐ意味がわかりません。カステラさんどう思う?

昔からあったこと=あってよいこと じゃないよね?

ドラスティックな改革…は、どーせ今すぐには無理だろうとは思うけど、それでもきっちり大騒ぎして、きっちりオトシマエつけてほしい

昔からあろうがなかろうが、現実に明らかになったのは「今」なので、今後に期待。

Q6 : 一昔前ならともかく、医学部入試で不正があることを受験生が知らなかったのは準備不足/情弱では?

受験生(卒業生&在校生含む)何も悪くないよ!?

「不正の存在を受験生が知らなかったこと」を「情弱だ!」とか、「そのくらい知っとけ!」とか責める意味がわからない。

あとね、現在の学生や卒業した人を、「裏口だろ?」って責めるのも意味が分からない。大人の事情に巻き込まれた(当時の)コドモです。

大事なことなので、もう一度いいます。受験生何も悪くないよ!?

ワタクシ、私立医学部の入学試験に興味ないせいもあるけど、噂では聞いたことあったけど、この業界にいて、「そっかー、あれ、本当だったんだ! ふおお。」くらいには驚きましてよ!

にゃんこ
女王様はもうちょっと頑張れ。
女王様
ぐぬぬ。

Q7 : 医学部OBの子弟は、その親の背中を見て育っているから、医師になる覚悟ができているから医師に向いている(から優先合格させてもいい)のでは?

親の背中見て育って、潤滑な教育費もかけてなお、合格できる程度の学力に達しないのであれば、別の意味で向いてないと思う…けど、それが大学にとって心底スバラスィ人材と判断するのであれば、募集要項に「優先させるよ」って書いておけばいいんじゃないかな。知らんけど。

Q8 : 医師養成には多額の税金が使われてるから、24時間365日働ける若い男性受験生が優遇されるべきでは?

まず、税金使われてるから、24時間365日働け!という思想がそもそもウンコなわけですが、使われている税金は他の4年制の理系学部の1.5倍程度。医学部は6年なので、大して変わりません。

そのことについては、【縛られずに逃げろ】医師1人税金8000万円の都市伝説【検証】にまとめてみました。

紙と鉛筆持ってきて自分で計算すれば分かることなのに、医学界の偉い人も本気で信じてることがあるのが残念すぎる。

Q9 : 医療現場はすでに疲弊している、今すぐ医学部定員は増やせないのだから、24時間365日働ける若い男性受験生が優遇されるのは必要悪では?

優遇受けたからっていう理由で、24時間365日働くのは、若い男性も嫌なんじゃないかしらね? 受験生本人=将来の医師には、優遇受けたかどうかも分からない訳だし。

分断を引き起こして対立を生じさせ、手技経験させないで知識つけるどころか寝る暇も与えないで、「お前は半人前」の洗脳して、病棟管理の駒として使い倒すつもりなら、この手法は超絶効果的だけどね。

あ? そっちが目的? なるほど。

Q10 : じゃあ、現在進行形の医療現場の過重労働はどうするの?

そんなん私に聞かれても…。

個人的には、

  1. 病院多すぎる:病院の数だけ当直医(という名の夜勤医)が必要なわけで、病院数が1/3になれば、当直医(という名の夜勤医)も1/3で済みます
  2. 頑張れば頑張るほど「やればできるじゃん」無限ループ&苦労自慢と有能マウンティング→次世代に同じ苦労と根性を押し付けたくなる:頑張るのもほどほどに

と思ってます。

なお、過重労働の証明は意外と難しいし、どんなに新しい「決まり」を作ったところで、どーせ有名無実化されてしまうので、せめて、「粛々と時間外手当を請求し、当直を夜勤と認めさせて」、金銭では報われるようにするのがオススメ(これも楽ではないの知ってます)。

過重労働を訴えても労基署が具体的に動くのは難しいことがあるけど、賃金不払い/未払いには、割と迅速に動いてくれますよ。

そんなことしたら病院が倒産する?

ふふふ、自然な形で、淘汰&集約化…。

まとめ:読んでくださってありがとう

書いてる本人がぐったりするくらいなので、読んでくださったみなさんは、さぞかしお疲れのことでしょう。

それから、お問い合わせ経由でEメールくださったみなさま、「後で記事にします」とそっけない返信した後、2ヶ月も放置してしまったのに、待ってくださって本当にありがとうございます。

しょぼい感想文書くのに心底疲れたので、こういうのは、二度とやらないけど、追加の質問等には、この記事の加筆訂正で対応しますね(たぶん)。

女王様
意訳:これ以上無理!

 

2 件のコメント

  • カステラ女王様、はじめまして。
    これまでにアップされた医療関係の記事、大半を拝読しました。
    どれも軽妙な語り口で読みやすく、腑に落ちるものが多かったです。
    にゃんこと女王様の掛け合いも大変面白いです。
    今後も面白い記事がアップされるのを気長にお待ちしております。

    • こりらっくまさん

      はじめまして&コメントありがとうございます。

      このブログ記事、「ああ、この記事、納得いかないひと多いだろうな…。お返事はブログ記事でとかいう約束しなきゃよかった…。」と、やや弱気で書いた記事だったので、励まされたようで嬉しいです。なお、弱気で書いてるのにエラソーなのは、芸風です。

      ブログは100記事がスタートラインらしく、どうやら、まだ、スタートラインにも立っていないようですが、今後も気長にお待ちいただければw幸いです。

  • Castella へ返信する コメントをキャンセル

    メールアドレスが公開されることはありません。

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください