みなさんこんにちは。50歳超女子大生のカステラ@Rainha_Castellaです。今回は産業医料金の決め方。なお、このシリーズは、ガチ臨床医から産業医ワールドに足を踏み入れた二人のお友達に暑苦しい愛を込めて、私の知っている産業医周りの全方向についての入門編を、飽きるまで続ける予定です。
実は、産業医料金の決め方、書こうかどうか散々迷ったんです。医師会等でも公表してるところは少ないし。もしかしたら、公表しちゃいけないものなのかも…とかグダグダと悩んじゃった。まだ迷ってるけど、とりあえず世に出すけど、予定より赤裸々になっちゃった…ので、苦情殺到するようならサクッと取り下げます。
目次でサクッと把握
【結論】ちゃんとやってる産業医なら最低でも6万円/月2時間)
独立系産業医なら固定給(産業医選任義務対応)+時間給
以下の記事にも簡単に書いたけど、産業医の料金の決め方は、既にモデルがいくつかあります。
で、上の記事内で書いていたことの再掲になりますが、以下の会社や機関の報酬例は適切と私が考えているもの。
- 日本橋医師会の例
- 愛知県医師会の例
- 合同会社パラゴンの例(産業医大出身医師による会社) ←イチオシ
- 京都工場保健会の例 ←これもイチオシ
上の例を踏襲すると、具体的には、
- 産業医選任義務対応(産業医として存在すること自体に対して)2〜3万円/月
- 時間給(職場巡視や産業医面接や講話などに対して)10分毎に2.5〜5千円くらい(この料金設定方法はパラゴンのパクリですが、時給にしたら1.5万円〜3万円くらい)
になります。仮に10分2.5千円で月に1コマ(2時間)請け負うなら、
産業医選任義務対応(3万円)+時間給部分(2.5千円/10分X120分=3万円)=6万円
ってことになりますね。
ちなみに、私が請け負うのなら、上と同じ条件で9万円/月はいただきます。6万円はあくまでも最低ライン。
雇われ産業医なら時間給
滅多に求人ないと思いますが、労働衛生機関や労働衛生コンサルタント事務所でバイトで産業医を行う場合は、産業医選任義務対応の部分は労働衛生機関等がやっておいてくれるし、保健師さんや事務の人を雇用する必要がないので、自分の取り分は、自分の時間給のみ。
この場合、10分毎に2千円くらい(=時給1.2万円くらい)が適切と考えます。もちろん、経験等によって若干違います。私なら3千円/10分 はいただきます(=時給1.8万円くらい)。
「ちゃんとやる」とは、企業の時間を無駄に使わず、健康を守るため現場に応じて適切に助言すること
ちゃんとやる産業医を引き受ける場合、最安値で6万円/月(産業医選任義務対応+実務2時間)ですが、そもそも「ちゃんとやる」とはなんでしょう?
ちゃんとやる産業医は主治医になってはいけない
産業医がうっかり従業員の「主治医」化してしまって、産業医の機能を果たせなくなっているケースをよく見ます。社員の病気や健康の相談にのることくらいはしてもいいでしょうが、主治医化してしまうのは、避けなければなりません。
最悪なのは、病気の従業員を囲い混んで主治医になりきってしまうこと。産業医は従業員にとって身近であるだけに、囲い込むと適切な医療機関受診の機会を喪失させることにも直結しますし、マッチポンプ疑われても言い訳できません。
また、アナタが循環器内科として開業している場合、高血圧の従業員を見つけたら、自分のクリニックで治療したくなるかもしれないけれど、(客観的に考えてアナタがご近所で一番の名医であっても)自分のクリニックに紹介するのは可能な限り避けてください。ご本人の強い意志で「来ちゃった❤️」の場合は仕方ないので真心込めて適切に治療に当たるしかありませんが、それでも、その従業員が受診する度に「産業医と主治医が同じなのは、長い目でみるとアナタの損になるから、他所のクリニックに行ってくださいね、紹介状は書くから!」とお伝えするくらいの勢いは必要です。
逆に言うと、ご近所の競合クリニックに気持ちよく従業員を紹介できる程度の報酬をもらわないと産業医はやっちゃダメってことです。なお、私は薄利多売は悪だと考えております。そのギリギリのラインが6万円/月ってこと。大切なことなのでもう一回書きますが、私なら9万円/月はいただきます。
あっ、それから、保険は入っとこう。「産業医があの医師を紹介したせいで、病気が治らなかった!」「産業医がツマラン提案したせいで、従業員の健康が損なわれた!」のような訴訟は今の所聞いたことがありませんが、ふつーに産業医訴えられてますから(特に復職判定など)! 産業医料金には責任料も含まれているので、それもコミで考えてね。従業員の健康を守ることは最終的に企業が負いますが、その企業に対して適切な助言する責任は産業医が負います。
ちゃんとやる産業医は、従業員に最適な医療機関を紹介したり、よりマシな健康習慣についてお伝えしたりしよう
ちゃんとやる産業医のお仕事の1つは、従業員に対して最適な医療機関を紹介したり、よりマシな健康習慣についてお伝えしたりすることです。
コレは産業医でなくても医師ならやることで、まあ、当然と言えば当然ですね。
ちゃんとやる産業医は、会社に対して職場環境や作業方法を改善するように意見を伝える
ちゃんとやる産業医のお仕事その2は、会社に対して職場環境や作業方法を改善するように意見を伝えることです。っていうか、コレできない産業医は、眼底診れない眼科医と同じくらい残念。
産業医が会社に対して職場環境や作業方法を改善するように意見を伝える機能を果たすためには、「世界で一番、その職場を知っている医師」である必要があります。詳しくは↓でどうぞ。
産業医実務(職場巡視、(安全)衛生委員会出席、健康診断結果の就業区分判定など)時間給部分はココ。1時間3万円とかではなくて、10〜15分単位なのがミソです(10分単位の料金設定はパラゴンさんのパクリですが、とてもいいと思う)。
サービスの薄利多売やダラダラ仕事はお互いにとって損
産業医の仕事をするときに、「そんなにお金払えません」って言われて、
- 「サービス」を薄利多売したり
- 無料奉仕のつもりで世間話?に始終したり
- 自分のトコの人件費節約しようとして自分でコンピュータの入力作業したり
してませんか?
「そんなにお金払えません」に対する解は、時給の引き下げや、料金据え置きのまま時間延長することではなくて、お互いの作業時間の短縮です。始める時間だけでなく、終わりの時間を決めましょう!
ダラダラ働くのは相手の時間も使っている
人と関わる仕事はなんでもそうですが、「サービス」を提供している間は、相手の時間も使わせていることに気づいてください。
例えば、(安全)衛生委員会は非常に重要な会議ですが、そこに20人出席しているのなら、30分で10人時間、60分で20人時間が使われています。会議に時間をかけすぎる会社は体質的に薄利多売になる傾向がありますよ(根拠ないけど、経験上)。
書類作業を徒労作業に終わらせない
産業医は書類を作るために仕事をしているわけではありませんが、産業医の仕事の一部からは書類(健診結果への就業区分判定や職場巡視報告書等)が発生します。
書類は、書いて期日までに提出するのが目的じゃなくて、書類を通して改善点を提案し、従業員の健康を守るのが目的! そうでなければ、書類作成はただの儀式になってしまいます。
例えば、職場巡視報告書は、その場で気づいたことや提案まで書き込みハンコ押して写メ撮って(あるいはコピーして)、一緒に巡視した人がいる間に提出してしまってください。
会社から離れてからは何を指摘したかったのか思い出しにくいですし、忘れた頃に報告書貰っても会社側も困ります。また、ハンコを上長に押してもらうためだけに、書類をぐるぐるまわすのも時間の無駄です。
職場巡視では、書類の記入時間までちゃんと時給に計上し、時差なく提出するのが、結局お互いにとっておトクです。報告書を自宅ないしクリニック(開業医の場合)に持ち帰って記入すれば、会社での滞在時間は短くなるでしょうが、全体の作業時間は長くなる上、せっかくの報告書があまり効果を発揮できなくなります。
【大サービス】ワタクシが考える産業医の料金表w
ここ数年、産業医業務はお友達のピンチヒッター程度にしかやってないんで、ちょっと自信ありませんが、「私だったらこうするだろうな」の表を作成してみました。なお、私だったらこうするってだけで、コレが絶対ではないし、労働衛生機関に所属したり、労働衛生機関のバイトで行うのなら、もうちょっと安いです。この場合、責任の一部は労働衛生機関が担いますし、産業看護職を雇用する必要がないからです。また、面倒な事務手続きも半分くらいは労働衛生機関が担ってくれます。
けど、私が働くんならこのくらいは貰いますよってこと。
なお、産業医先の探し方ですが、以下にも書いたように、本当は産業医大関係者(と、その周囲の人)から紹介してもらうのが今の所、おすすめです。
健康診断や当直のアルバイトでは、民間医局、エムスリーキャリア、リクルートドクターズキャリア、ベリ・マッチ、メディウェル、e-hijokin など、複数の医師派遣会社に登録することをおすすめしている私ですが、産業医に関しては、今の所、派遣会社はおすすめではありません。産業医科大学関係者からの紹介が、企業にとっても産業医にとってもお互いにとって幸せな印象をもっています。
どうしても、医師派遣会社からの紹介を希望するのでしたら、自分で使ったことがないので、全力でオススメはできないけど、ホームページなどから判断するに、非常勤ドクターのアルバイト情報「Dr.アルなび」と【JMC】日本メディカルコネクションは悪くない印象です(根拠に乏しくて申し訳ありません)。
私はちょっとぼったくってる、かもw
でも、産業医にこの料金払ってくれる企業は、従業員の給料もちゃんと出してることが多く、かつブラック度が低いので、これでふるいにかけてるのですよ。ブラック企業の片棒担いたくないんで。